発明家をサポートするエンジニア

発明家には“やりたいことだけ”に
集中できる環境を

発明家のアイデアをリアルな生活の場を通して実証実験し、開発のスピードを早め、実用化までの期間を短くしていく——。そのために、Woven Cityのしくみはその過程で生じる、発明家の「困りごと」や「課題」の解決をいかにしてサポートしていくのか。鍵を握る2人のウーブン・バイ・トヨタのエンジニアに話を聞きました。

鈴鹿さん、マルワンさんの現在の役割をお聞かせください。

鈴鹿さん:Woven Cityにおける私の役割は、発明家とウーブン・バイ・トヨタのエンジニアの架け橋として、発明家が抱える「困りごと」を汲み取り、その解決に適したWoven Cityのソリューションを発明家に提案することです。それにより、発明家が目指す「未来の当たり前」「幸せの量産」に貢献していきたいと思っています。

発明家にはやりたいことだけに集中できる環境をの画像 #01

マルワンさん:エンジニアである私は、発明家のアイデア実現のため、Woven Cityの発明家と住民のコミュニケーションを促進させるアプリを開発しています。発明家や住民がWoven Cityの様々な情報にアクセスでき、発明家は自身のプロジェクトをアプリを通して周知し実証参加を促し、実証に協力的な住民からのフィードバックを得ることができます。それに加え、発明家によるサービスの実証をサポートするためのツールなども、そのアプリを通じて提供できるよう取り組んでいます。

発明家にはやりたいことだけに集中できる環境をの画像 #02

Woven Cityでの仕事に就いたきっかけは何ですか?

鈴鹿さん:私のバックグラウンドは、数理最適化を専門とするデータサイエンティストです。数理最適化とは、現実で起こる様々な問題を数理モデルで表して解を求め、最適な意思決定や問題解決を行う手法です。実社会で役立つ解を得るには、数理モデルの更新を何度も繰り返す改善のサイクルが不可欠です。「未完成の街」であるWoven Cityで、課題の発見と改善のサイクルを繰り返し、新しい発明やサービスを作っていくところに数理最適化との共通点と魅力を感じ、私の専門知識や経験を活かせるプロジェクトとしてぜひ携わりたいと思いました。

マルワンさん:私は、大学卒業後、母国・モロッコで政府や大企業向けにアプリやツールの開発を手がけるソフトウェアエンジニアとして働いていました。そこで、ソフト開発の現場でも使われる「カンバン(方式)」という言葉の起源がトヨタ自動車であることや、Woven Cityというとてもやりがいのあるプロジェクトがあることを知り、応募したのがきっかけです。

発明家をサポートするために日頃から意識していることはありますか?

鈴鹿さん:発明家に寄り添い、最大限サポートするため、発明家の課題に対しては、自分ごととして取り組んでいます。「開発をスムーズかつスピーディに進めるにはどうしたらいいのか」「発明家にとって有用なフィードバックは何か、どのように提供できるか」を常に考えています。今は発明家の皆さんの「困りごと」を日々ヒアリングしながら、その解決のためのデータ活用方法を考えています。

発明家にはやりたいことだけに集中できる環境をの画像 #03

マルワンさん:私は常に、日常の中の小さな「困りごと」を探しています。日々の仕事でも、他のチームをサポートする機会を見つけてはテクノロジーで解決し、役に立ちたいと考えています。例えば、オフィスに設置された従業員宛てのレターボックスが一杯になったら、すぐに分かるような管理プロセスを自動化するアプリを作ろうと考えています。社内の日常的なニーズに応えて制作したアプリは、Woven Cityでも活かせると思っています。

今後、Woven Cityの発明家たちをどのようにサポートしていきたいとお考えですか?

マルワンさん:発明家が自分のやりたいことだけに集中できる環境を作っていきたいです。発明家が抱えている「困りごと」をアプリ開発を通してサポートしていくだけでなく、実証データの管理や、発明家の技術・サービスの改善点を把握するフィードバックを集めるためのツールなども提供していきたいと思っています。発明家にとって、ユーザーからのフィードバックはとても大切ですが、適切に設計をしないと、効果的なフィードバックは得られません。鈴鹿さんや様々なチームと連携して、より良い方法を模索していきたいと考えています。

発明家にはやりたいことだけに集中できる環境をの画像 #04

鈴鹿さん:世の中に広く展開したいサービスがあっても、運用に必要なアプリの開発に困難を感じている、という発明家もいると思います。Woven Cityでは、発明家が通常よりも簡単に実証用アプリを作成できるような開発環境や開発支援ツールなどを提供しますので、発明家のみなさんにはサービスの開発や実証に集中していただけます。

Woven Cityにはすでに驚くほど多様で高度なテクノロジーが集まってきています。発明家のみなさんには、「自分以外の誰かのため」の開発をよりスピーディーに進めていただけるよう、ぜひ私たちのサービスを利用していただきたいと思っています。

鈴鹿 順美 Ayami Suzuka

博士(工学)。数理最適化を専門とするデータサイエンティスト。2022年よりウーブン・バイ・トヨタにてカスタマーエンジニアとして発明家とエンジニアを繋ぐ役割を担う。

マルワン・ボームジヤン Marouane Boumeziane

エンジニアとして大学卒業後、ソフトウェア開発を担当(共にモロッコ)。2022年より、ウーブン・バイ・トヨタにてWoven Cityにおけるアプリ開発を進める。

発明家の「困りごと」(トヨタ自動車九州)

ソフトウェア開発のためのリソースを社内で確保するのに一苦労

新サービスのアプリを社内で立ち上げるのに、そのアプリに必要な機能を一から開発するには人的リソースが不足しており、膨大なコストもかけられない。

アプリの開発・提供をサポート

  • Woven City内での決済やサービスの予約などの基本機能を備えた、即時使用可能なアプリを各種提供。また、発明家自身が簡単にカスタマイズすることもできます。
  • アプリを通じてWoven Cityの住民から得られるフィードバックも集められます。フィードバックをもとに次の改善を素早く実行に移せます。
発明家の「困りごと」 画像
※トヨタ自動車九州の静岡県裾野市にできるWoven Cityでの実証実験への参加は未定です。

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